赤絵とは|有田焼を華やかに彩る上絵付けの技法
赤絵万暦文様が描かれた有田焼の皿。赤絵の華やかさを感じられる代表的な器です。
赤絵とは、本焼成を終えた器の表面に、赤絵絵の具と呼ばれる上絵絵の具で色を加え、さらに赤絵窯で焼き付ける技法です。赤という名前が付いていますが、赤色だけを指す言葉ではありません。緑、黄、紫、金などの色を用いて、釉薬の上から華やかな装飾を施した器も広く赤絵と呼ばれます。有田焼において赤絵は、染付では表現できない彩りと華やかさを生み出す大切な技法です。
赤絵とは、釉薬の上に絵付けをする技法
赤絵とは、釉薬をかけて本焼成を終えた器に、さらに上絵絵の具で絵付けをしたものを指します。釉薬の上に絵付けをするため、「上絵」または「上絵付け」と呼ばれることもあります。
また、有田焼の世界では「錦」と呼ばれることもあります。これは赤い色だけを意味するのではなく、釉薬の上に色絵を施した華やかな装飾全体を指す言葉として使われます。
本焼成後の器に、上絵絵の具で絵付けをしている様子。
赤絵に使われる色は赤だけではない
赤絵という名前から、赤色だけで描かれた器を想像される方も多いかもしれません。しかし実際には、赤のほかに緑、黄、紫など、さまざまな上絵絵の具が使われます。
赤絵の魅力は、白磁の上に鮮やかな色彩を加えられることです。染付の藍色とは異なる明るさや華やかさがあり、器に祝いの雰囲気や装飾性を与えてくれます。
赤絵で松竹梅が描かれた飯碗。
緑色の上絵絵の具を使ったマグカップ。
赤絵の器は何度も窯で焼かれる
赤絵が施された器は、少なくとも三度の焼成を経て完成します。まず素焼きのための窯、次に釉薬をかけた後の本焼成、そして上絵を焼き付けるための赤絵窯です。
染付のみの器は、素焼きと本焼成の二度の焼成で完成します。一方、赤絵が加わると、さらに一回、場合によっては二回ほど多く窯で焼かれることになります。赤絵の器は、その分だけ手間と時間をかけて作られる器です。
上絵絵の具が置かれた赤絵の作業風景。
赤絵窯に器を積み込む様子。
赤絵は色落ちするのか
赤絵は、釉薬の上に上絵絵の具を重ねて焼き付ける技法です。そのため、染付のように釉薬の下に文様があるものとは異なり、絵付け部分に手で触れる感覚があります。
長年使い続ける中で、洗浄や摩擦によって色が少しずつ薄くなることがあります。特に金彩や繊細な上絵部分は、強いこすり洗いや研磨剤を避けて扱うと、より長く美しさを保ちやすくなります。
それでも赤絵が長く愛されてきたのは、染付だけでは表現できない色彩の豊かさと、器を華やかに見せる力があるからです。
白磁に赤絵の草花が映える香炉。白と色絵の対比が美しい器です。
染付と赤絵の違い
染付は、素焼きの器に呉須で絵付けをし、その上から釉薬をかけて焼き上げる技法です。文様は釉薬の下にあるため、日常使いの中で絵柄が色落ちしにくい特徴があります。
一方、赤絵は本焼成後の器に上絵絵の具で色を加え、赤絵窯で焼き付ける技法です。釉薬の上に絵付けされるため、染付よりも多彩な色を表現しやすく、器に華やかさを加えることができます。
染付と赤絵を組み合わせた染錦
染付と赤絵の両方を施したものは、染錦と呼ばれます。染付で藍色の文様を描き、その上から赤絵や緑、黄、金彩などを加えることで、より複雑で華やかな表現が生まれます。
染錦は、下絵付けと上絵付けの両方の工程を必要とするため、より高い職人の技量と多くの手間が求められます。有田焼の中でも、装飾性の高い器に多く見られる表現です。
染付と赤絵を組み合わせた染錦の飯碗。
染錦の皿のアップ。藍色と赤絵の組み合わせが魅力です。
金彩を加えた華やかな赤絵
赤絵の器には、金彩が加えられることもあります。金彩は器に豪華さを添え、晴れの日の器や贈り物、飾り皿などに用いられることが多い装飾です。
有田焼が海外へ輸出された時代にも、赤絵や金彩を施した華やかな磁器は高く評価されました。鮮やかな色彩と金の輝きは、有田焼の装飾性を象徴する表現の一つです。
染付、赤絵、金彩が施された華やかなコーヒーカップ。
赤絵は現代の食卓にもよく合う
赤絵は豪華な飾り物だけではありません。現代では、皿、飯碗、小鉢、マグカップ、カレー皿など、日常の食器にも広く使われています。
赤や緑の色彩は料理を明るく見せ、食卓に楽しさを加えてくれます。和食はもちろん、洋食やスイーツにも合わせやすく、普段の食卓を少し華やかにしてくれる器です。
赤絵万暦の器に料理を盛りつけた使用イメージ。
染錦の皿にメインディッシュを盛りつけた使用イメージ。
小さな器にも映える赤絵
赤絵の魅力は、大皿や飾り皿だけでなく、小さな器にもよく表れます。小皿に和菓子をのせるだけでも、色絵の華やかさが加わり、もてなしの雰囲気を演出できます。
赤絵の小皿。
和菓子をのせた使用イメージ。
現代的な赤絵の器
赤絵は伝統的な技法でありながら、現代的なデザインにもよく使われています。赤や緑をアクセントにした器は、日常の食卓に取り入れやすく、明るく親しみやすい印象を与えます。
トマトの赤が印象的なカレー皿。
赤と緑の上絵絵の具で描かれた二段鉢。
まとめ|赤絵は有田焼に彩りを加える技法
赤絵とは、本焼成後の器に上絵絵の具で色を加え、赤絵窯で焼き付ける技法です。赤という名前が付いていますが、実際には赤だけでなく、緑、黄、紫、金などさまざまな色を使った上絵付けの器を指します。
染付が藍色の静かな美しさを持つのに対し、赤絵は器に明るさや華やかさを加えてくれます。染付と赤絵を組み合わせた染錦は、さらに豊かな表現を持つ有田焼らしい技法です。日常の食卓にも、贈り物にも、赤絵の器は暮らしを華やかに彩ってくれます。
有田焼やきもの市場の赤絵の器
有田焼やきもの市場では、赤絵万暦、松竹梅、染錦、金彩入りの器など、さまざまな赤絵の有田焼を取り扱っています。普段使いの食器から贈り物、飾り物まで、用途に合わせてお選びいただけます。
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